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伏見・ヒットの法則

コーヒー業界に新風を吹き込んだ自動焙煎機『NOVO』 vol.004

更新)

個人経営の専門店にとって強力な相棒になる画期的製品


60年前に創業したダイイチデンシ株式会社は、厳しい時代があったそうです。しかし、全く異業種と思われたコーヒー豆の自動焙煎機を開発、販売したところ、大ヒット。コーヒー豆の業界に新風を巻き起こした同社の社長・中小路(なかこうじ)通さんに話をうかがいました。

――自動焙煎機開発のきっかけは?

 

私は2002年に入社したのですが、2008年にリーマンショックが起きて、制御盤や自動装置の設計・製作を担っていた弊社では、約9割の仕事がなくなってしまいました。

何とか仕事を増やすべく奮闘していましたが、2009年にドイツ製の焙煎機を輸入していた商社が厳しい状況になり、その焙煎機のメンテナンスを頼まれたのです。
それがきっかけになって、うちの技術を生かせば、焙煎職人がいなくても自動制御で焙煎できる製品が作れるのではないかと思い立ち、開発に取り組みました。

 

全く従来とは異なるジャンルへの参入になるわけで、反対する従業員もいて、中には離れていく人もいました。

でも、火を使わず、電気による熱風でコーヒー豆を焙煎するマシンは、世界的に見ても類例のない製品で、私は将来性を感じたのです。
そして、2012年に『NOVO MARKⅡ』が完成、製造販売を開始しました。2013年からはコーヒーの生豆の販売も事業化しました。

ダイイチデンシ株式会社の代表取締役社長、中小路 通さん。後ろにあるのが、自動焙煎機『NOVO MARKⅡ』。

――発売当初の反応はいかがでしたか。

 

当時、リーマンショックで職を変えたり、新たに起業する人も多かったので、脱サラしてコーヒー専門店を始めるという人もいました。

弊社のホームページで発信したところ、けっこう反応があり、大阪や淡路島など各地で導入する方が相次ぎ、最初の年で『NOVO MARKⅡ』は10台売れました。
価格は300万円と安くはありませんが、焙煎職人を雇わずに済み、火を使わないで焙煎できる安全性もあり、長い目でみると決して高い買い物ではないと感じていただけたようです。

発売から13年が経ちましたが、2021年から販売を開始した『α NOVO』を併せて、750台が売れました。日本だけでなく、海外でもご購入いただいています。

2020年にグッドデザイン賞を受賞した『α NOVO』と中小路さん。

――従来とは発想の異なるツールというわけですね。

 

弊社の自動焙煎機には、基本プログラムがあらかじめインストールされています。100g用から1kg用まで100g刻みで、シナモンローストからフレンチローストまで5つの深度で計50通りのプログラムです。

このプログラムを開発するために、何百いや何千とコーヒー豆を実際に焙煎して調整しました。さらに、使われる方がご自身で細かくプログラムの編集をすることも可能です。

 

また、弊社はメンテナンスのプロでもあります。

400時間使用されると、タッチパネルに通知が表示される仕組みになっていて、ご連絡いただくと弊社エンジニアが伺い、オーバーホールさせていただきます。
お客様から弊社の製造部にご意見やご感想が届きますが、現場では常にそうしたユーザーの声を聞きながら開発しています。

オーバーホールの際、ソフトも最新版のものにバージョンアップしています。

最近では、コーヒー豆以外に、アーモンドなどナッツ類の焙煎も可能になりました。

生豆を投入すると、熱風が吹き付けられ豆が“踊る”。

焙煎はわずか5~10分ほど。みるみるうちにローストされていく。

――コーヒー店にとっても焙煎機のイメージが変わりますね。

 

従来、焙煎機というものは、店の奥の方にあって、どちらかというとバックヤードの裏方でした。

それが弊社の自動焙煎機を導入されると、映える存在感があって前面に打ち出せるので、店の雰囲気が変わり、お客さんとの話のきっかけになる場合もあるでしょう。

 

最も重要な点は、コーヒー豆を生豆から焙煎することで、単なるカフェとは利益率が全く異なるビジネスになり、長く続くお店にしていただくことができます。

全自動なので、コーヒー豆の専門店が、素人の方でもいきなり実現できることも魅力です。生豆も弊社より小分け販売もしています。

短時間で焙煎できるから、注文して焙煎が終わるまで待つ間にコーヒートークしたり、コミュニケーションのきっかけになるかもしれませんね。

 

また、都会だけでなく、特に田舎といわれるような町では自宅でコーヒーを淹れる方も多いようで、コーヒー豆のニーズがより高いです。

日本全国津々浦々、さまざまな町で、弊社の“魅せる焙煎機”がお店の名物となっていると聞くと本当に嬉しいです。

生豆と焙煎された豆。5~10分ほどでできあがる。


――コーヒー事業に参入して会社はどう変わりましたか?

 

元々は大手メーカーの下請けや孫請け的な町工場でした。ロボットや生産設備の内部で重要な役割を果たす制御盤などを作ってきました。

今まで培ってきた自動制御技術を基本にして、私たち自身がメーカーとなり、自社商品を製造、販売したかったのです。

この10年で新卒採用もして世代交代も進み、社員数は16名ですが、うちから独立した人など社外にもパートナーをつくり、30~40人ほどのチームともいえます。
メンテナンス作業をするメンバーは、エンジニアのプロフェッショナルですが、コーヒーのこともしっかり学んでいるので、オーバーホールに伺ってお客さんとコーヒートークもできます。

コーヒー生豆の国際鑑定士でもあるQグレーダーも取りましたし、もはや、ただの“メーカー”の枠も超えているかもしれません。

 

『NOVO MARKⅡ』を製作中の若手社員。

見やすく分かりやすい『NOVO MARKⅡ』の操作パネル。

――コーヒー事業で焙煎機以外のブランドも展開されています。

 

世界中のコーヒー産地から生豆を60アイテムほど輸入していますが、その中の10アイテムほどは弊社オリジナルのアイテム「AGE of NOVO」という生豆ブランド。

NOVOオーナー様のみのためにプロデュースしている、お得なスペシャルティコーヒーです。


コーヒーの展示会やWEBサイトなどでは、自社アパレルブランド「Roast Right Now」、「Drip Right Now」の販売をしています。

これは焙煎したてのコーヒーの魅力をキャッチーにPRすべく生まれたブランドで、アウターやトップスなどを主に手がけていますが、特に「Roast Right Now!!」は、珈琲を焙煎しよう!という意味とともに、「心に灯をともせ!」という意味も込めています。

 

私たちも一度、リーマンショックなどで心が折れそうになりましたが、自社商品にかけた情熱で、今は当時の5倍の年商にもなりました。

今年はそんな弊社創立60周年なので、さまざまな記念アイテムも作りたいですね。

Roast right now!!の新製品HARIO V60ドリップキット。Tシャツなどオリジナルグッズはオンラインストアで販売。

ダイイチデンシ

 

<まいぷれeye>

コーヒーを飲まない日はない、私、インディ。京都発の画期的な自動焙煎機について、現場のお話を聞き、感服しました。実際にこちらの『NOVO MARKⅡ』を導入しているコーヒー店数軒に行きましたが、どこも美味しく焙煎されたコーヒーを提供されていました。しかもみなさん脱サラなどでゼロからのスタート。私もやってみたくなりました(笑)

 

(インディ)

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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