伏見・ヒットの法則
(更新)
しゃれた内装の和菓子店を商店街に出店した理由

和菓子の大手メーカー、あわしま堂が昨年10月、納屋町商店街に直営店をオープン。連日午前中からひっきりなしにお客さんが押し寄せ、大人気店になっています。伏見区の商店街に出店した理由と勝機をつかむコツとは? あわしま堂京都支店の古賀富士雄さんに聞きました。
あわしま堂の本社は、愛媛県の八幡浜市にあります。その本社工場のほか、栃木県の佐野工場と京都伏見第一・第二工場があり、こちらの工場直売所は伏見区の皆様にもご愛顧いただいております。東京をはじめ、名古屋、福岡など各地に支店があります。
私は2021年に名古屋から京都へ赴任してきました。2023年あたりから新たな事業として、直営店を出店する場所を探し始めました。京都市内は丸太町など中心部も含め、あちらこちら市場調査をしましたが、この伏見区で可能性を感じたのです。和菓子のメイン購買層である年配の方が多いのも理由のひとつです。
大手筋商店街は大勢のお客さんがいて魅力的ですが、人の流れが多すぎました。一方、この納屋町商店街は駅から適度に離れていて、バランスがいい。お客様には、ゆっくりと商品を見ていただきたいので、あまり混み過ぎない立地が望ましかったのです。駅から徒歩10分圏内で、落ち着いた雰囲気のなか買い物していただくのに納屋町商店街は理想的でした。

開業当初のあわしま堂京都納屋町商店街店の店内の様子。
私は全国各地で市場調査し、和菓子店だけでなくチェーン店やカフェなども見て回りましたが、年配の方もおしゃれさを求める傾向があると感じていました。
和菓子を日常的にお求めになる年配の方がいらして、その下の若い人たちにも和菓子を知っていただく、若い世代の市場をどう育てていくかは中長期的な課題です。
和菓子の老舗は重厚な雰囲気で敷居が高いとも思われることもあるでしょう。弊社の商品は日常的にお召し上がりいただく和菓子ですから、それに合わせた店の雰囲気、レイアウトが必要です。若い人に気軽に親しんでほしい、年配の方にも新しさを感じてほしい、そんなコンセプトを社内の若い社員たちに考えてもらいました。従来のイメージの和菓子屋にならないよう、内装の担当も若手に任せたんです。

店内奥の壁はこのようなグレー調のストライプ柄。しゃれたカフェのよう。
まず、看板を置かない。そして店内は明るくする。落ち着いた雰囲気をだすために照明は少し落としますが、明るく感じられる内装デザインを求めました。
会計のレジについては、セミセルフ式を導入しました。これは少しカジュアルに感じられるかもしれませんが、店員の負担軽減にもつながり、和菓子の販売経験がない人でもすぐに対応できる利点があります。また完全にセルフ式だと困惑される年配の方もいらっしゃるので、購入される商品は店員がチェックして、会計作業のみをお客様にしていただくわけです。新しい直営店事業として、モデルづくりになったかと思います。

ケースに入って売られている生菓子。客が自ら取ってパックに入れてレジへ。
直営店では毎日発見が多いですね。日によっても売れ方は違います。お客様も目的を持ってお買い求めにいらっしゃる方がほとんど。
弊社の商品は通常、スーパーなどで販売されるパッケージ商品ですが、この店ではケースに入った生菓子も販売しています。パッケージ商品に比べると安くはないし、その日のうちにお召し上がりいただかねばならないのですが、おかげさまで大好評です。全体の売上の2割くらいは、この生菓子ですね。
パッケージ商品もこの店舗でしか販売しない限定品や季節商品があったり、無料で試食できる商品もあり、品数も多く揃えているので、あれこれたくさんお買い求めいただくお客様もいらっしゃいます。

春の限定品、ういろうの生菓子。甘過ぎず、大人の味わい。
弊社は卸売りにおける和菓子メーカーとしては日本一です。他社だと20~30アイテムくらいだったりしますが、うちは70~80アイテムと多く、さらに毎月のように新しい商品も20以上出てきます。品揃えは豊富ですが、日常的にお召し上がりいただくお菓子ですから単価は安い。スーパーが主な土俵ですが、和菓子はニッチなアイテムなので、1万人の商圏でも月の売上は50万程度です。
この店も直営店とはいえ、新たな事業として独立採算型を採っています。ですから、そんなに儲かっているわけではなく、ぎりぎり損益分岐点に届いているかどうかという感じですかね(笑)。1年くらい様子を見たいと思いますが、これから先のあわしま堂の展開としてはまずは成功といっていいかもしれませんね。

店は納屋町商店街の南端に近い。営業時間は朝10時30分から夕方16時30分まで。
▶ あわしま堂
<まいぷれeye>
昨年秋、オープン前から話題になっていた、あわしま堂さんの直営店。納屋町商店街を通りがかる人はみな覗き込んでいました。オープンから4か月経っても、いつもお客さんがいます。まいぷれ伏見区の編集部から徒歩1分ということもあり、私もちょくちょく買ってますが、つい立ち寄ってしまう理由が理解できました~
(インディ)
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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