伏見・ヒットの法則
(更新)
命を見つめ直すきっかけをつくり定住化を図る

この春、安産・子育ての杜・御香宮神社に「赤ちゃん回廊」が建立されます。全国でも類例のない画期的なプロジェクトは、クラウドファンディングも進行中。仕掛け人でもあるバランステック京都の島田和明さんに話を聞きました。

バランステック京都の代表取締役、島田和明さん。
私たちの会社は、革新的な伝統文化の普及とともに、人々を健康にする社会づくりを目指し、千年以上前から存在する“一本歯下駄”に伝統技術と最新科学を組み合わせ、なぜ身体に良いのかという理由を言語化し、そして伝統文化を継承する意味を発信し続けてきました。縁あって下駄のトレーナーには助産師の方もいて、元々は産前産後の女性の骨盤矯正をはじめ心身の健康サポートに弊社の下駄をお役立ていただいていましたが、活動を重ねていくなかで彼女たちや妊娠・出産・子育てに関わる皆様の想いや悩み・葛藤にも数多く触れ、
ママさん1人ではなく夫婦で、家族で、そして地域で生まれてくる命を迎え祝福し、育てていく環境が必要だと気付きました。
私自身も子どもがいますが、その成長とともに子どもの未来のために何ができるのかを、この活動を通じてより深く考えるようになりました。
神社の参道は、子どもが生まれてくる産道を表しているといわれます。自分が生まれてきた意味を考えたり、生まれてきたことへの感謝を持てるよう、本来、人が集まるべき神社に象徴的なものを建立することで世代を問わず地域の交流も深くなると考えました。
本プロジェクトは、「にっぽん★未来2125プロジェクト」という6つある取り組みから構成されており、回廊はその中でも象徴となるものです。
伝統文化を継承することの必要性を強く感じております。日本人が紡いできた生命の営みや精神性を次世代に紡ぐこと、その中で人口問題は我が国においても非常に重要な課題です。
住みやすく豊かな日本を未来に紡ぎ、人口の維持に必要な出生率「2.07」を目指し、子どもを授かりやすい、育てやすい環境を100年後の未来へと紡ぐというものです。
命の誕生を社会全体で祝う「赤ちゃん回廊」のほかに、助産師やフェムケアニストによる「女性の心身」のサポート、お父さんにも育児の概念を見つめ直してもらう「ペアレンツシップ」、生まれてきてくれたことへの感謝を地域で祝う「お誕生日会」、子どもも大人も共に学ぶ「寺子屋」、このまちで生きていきたいと思える「定住化」を掲げています。
これらが、人が集うコミュニティの場として神社を中心に、地域に広がっていくことを望んでいます。伏見区だけでなく、京都市全体での定住につながると幸いです。

「赤ちゃんまつり」開催時の様子。
無かったわけではないのですが、以前は朔日参りや秋の神幸祭の際に訪れる程度でした。
親族もこの近くに住んでおり、御香宮神社のことは存じ上げていましたが、当時はまだ具体的な連携のイメージがありませんでした。
下駄の取り組みの一環で足の神様として有名な大阪・豊中市にある服部天神宮と関わり、立ち上げから携わっている年1回の「足祭り」には今では1万人を超える方が集まるようになりました。改めて神社が存在する意義や現代社会における重要性を体感し、これを地元伏見でも実現できないかと考え、御香宮神社へ提言することを決めました。
周りの人たちからは無理だと言われましたが、御香宮神社の方々に構想をお伝えしたところ、幸いなことにご理解いただけて了承を得られました。
これは、たまたま昨年の大阪・関西万博で出会ったんです。ヘルスケアパビリオンに行ったところ、木工の造形物の会社が鳥居をイメージして曲線を取り入れたユニークなデザインのオブジェを展示されていて。一目で自分の志向とマッチし、動画で撮りまくりました。それを見たメーカーの方が声をかけてくれて、後日、改めて訪問させていただき、考えているプロジェクトについて説明したところご神社での製作に快諾いただきました。
これも本当に偶然の出会いでした。万博では期間限定で展示されていて、私が訪ねた日は最終日だったそうです。ご縁があったのかもしれません。昨年9月、閉幕直前のことです。

曲線の効いた印象的なデザインの「赤ちゃん回廊」。
年末に「未来へ繋ぐ、赤ちゃん回廊建立プロジェクト」というクラファンをスタートしました。多くの方に認知していただきたいですし、遠方の方にも知っていただけるというのが大きな理由ですね。クラファンは弊社では過去にも、下駄の独自形状をつくるにあたり利用したこともありました。ただ、今回は3月28日に建立するというスケジュールと年内には必ず発表することを先に決め、急ピッチでの公開を進めたために準備が万全でないままスタートせざるを得ませんでした。
このクラファンでは、「赤ちゃん回廊」の意味やプロジェクトの意義を説明していますが、リターンには「お気持ち支援」やイメージソングを歌ってくれている北川たつやさんの特別ライブ招待のほか、神域の樹木で作られた特別な絵馬や木製ケースもあります。
じつは、御香宮神社の境内で「赤ちゃん回廊」の設置場所が決まっていて、すでに一部樹木の伐採も完了しているんです。3月28日の建立に向けて、着々と進行しています。クラファンも徐々に話題になって、全国に広がることを期待しています。

クラウドファンディングのREADYFORでプロジェクトを公開中。
プロジェクトのひとつに「お誕生会」がありますが、神社で行う会を「宮誕(きゅうたん)」と呼んでいます。じつは近年、“バーストラウマ”に陥る子ども達が多いとされています。バーストラウマとは、自分の誕生日が近づいてくると、気分が落ち込んだり、うつになったりするというものです。子どもたちに自分自身の存在をポジティブに捉えてもらえるためにも、御香宮神社で月に1回、その月に生まれた子どもたちの誕生日を祝う機会をつくります。
また、子どもたちが地域の仕事を知り、学ぶことで将来に繋げられるキッザニアのようなお仕事体験の場もつくりたいと考えています。
シニア世代の知識や経験も、「寺子屋」のように子ども達に伝えていく場所にもなります。これは公の集会所などではなく、神社でやるのがいい。命の誕生を感じることができる神社でやるから意味があると思うのです。
全国には様々な神社がありますから、このプロジェクトを具現化できる場所を、2030年までに全国で20か所つくりたいと考えています。まずは御香宮神社が先駆のモデルケースになって、100年先の未来につなげる足がかりにできれば嬉しいですね。

御香宮神社境内の「赤ちゃん回廊」建立予定地。
<まいぷれeye>
最初に「赤ちゃん回廊」のデザインを見て驚きました。これは伏見区の新たな“映え”スポットになると。でも、神社の参道がお母さんの産道だとか、子どもだけでなく、その親やシニアの方々までを神社をハブにして地域活性化していくとは、感服です。応援します~
(インディ)
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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