伏見人
地元の方から愛される人生の節目に訪れたいお店

醍醐きっての老舗として有名な京料理・精進料理『鳥羽甚』さん。長年、地元の方々から愛されるお店を切り盛りされている、女将の伊藤由里さんにお話を聞きました。
創業157年目、醍醐寺御用達として、鳥羽甚で女将をしております。
両家の顔合わせから始まり、ご婚姻後のご家族のお祝い、そして新しい命の誕生を迎えるお食い初めや法事まで、ここにお越しくださる皆さまは、それぞれのご家族にとって大切な節目の時間を、この場所で過ごしていただいております。
丁寧に引いたお出汁の香りと、季節を感じていただけるお料理。
《堅苦しさを感じることなく、ゆったりとくつろいでいただける》そんな癒しの空間でありたいと、日々心を尽くしています。
ご家族の大切な時間を、お料理とともに見届け、心を込めておもてなしすること。
その喜びを分かち合いながら、皆さまのこれからの幸せを心から願うこと。
それが、私の仕事だと思っています。


一番大事にしているのは、「感謝を言葉にすること」です。
子どもの頃、両親は厳しく、手伝うのは当たり前の毎日で、感謝の気持ちを伝えられた記憶はほとんどありません。若い頃は反発もしましたが、今では大切な学びだったと感じています。だからこそ、店をよく手伝ってくれる娘には、その都度きちんと感謝を伝えています。
お客さまが初めてお越しになった日の緊張した表情、次にお会いしたときのやわらいだ笑顔、そして年月を重ね、ご家族が増えていく喜び…。
その一つひとつをそっと見守らせていただけることが、何よりの幸せです。
一期一会のおもてなしが一生のご縁につながる瞬間に、心からの感謝を、私らしい言葉で届け続けていきたいと思っています。


醍醐寺です。
と言っても、最初から好きだったわけではありません。50代になってふと振り返った時に気づいたんです。
「由里」という、表裏がないようにという願いを込めた名前。その名を授けてくださったのも、醍醐寺の僧侶さんでした。思い返せば、子どもの頃に遊んでいたのも醍醐寺。いつの間にか人生の節目を静かに見守ってくれていたのだと感じます。
創建から1150年以上も守られてきた貴重な文化財でもあります。もっと多くの方々に良さを知っていただき、足を運んでいただきたいです。
一言寺(いちごんじ)です。
ただ一言だけ、ひとつだけ願い事を祈願すると叶えてくれるといわれているお寺です。
お店を本当に切り盛りしていけるのか。私は結婚できるのか。将来への不安を抱えていた頃、気づけば何度もお寺に足を運び、ただ静かに手を合わせていました。
後になって聞いたのですが、一言寺の大奥様が「あの子、若いのにいつも真剣に拝んでいるね」と話してくださっていたそうです。おみくじもよく当たりますよ(笑)
春からは平日に気軽に楽しんでいただけるランチを週に1回くらい始める予定です。そのうちの1回はイベントにしようと考えています。
普段おひとりでは来られない方も、イベントなら参加しやすく、皆で仲良く過ごせますから。憩いの場、癒しの場として、皆さんの日々のお話を聞いて、楽しい空間にしたいですね。

最後に食べたいものは、父との思い出がぎゅっと詰まった「鯛の蕪蒸し」と、主人が丁寧に作ってくれる「炊き合わせ」。どちらも、ほんまに優しい味なんです。
――でも、本当のことを言うと。
私、いちばん好きなのは《にんじん》なんです♡
「細く切ったにんじんを少量の油でさっと炒めてでいただく」これが1番美味しい♬


【編集コメント】
私もまいぷれの仕事で伏見区に来るまで、醍醐寺も行ったことがありませんでしたが、実際に足を運んでみて感動しました。季節折々の良さもあると思います。
その近くにある『鳥羽甚』さんも落ち着く設えと雰囲気で、女将のお話を聞いて、地元の方々が代々利用されるのも納得です。一言寺にも行かなきゃ。
(取材 インディ)
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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