しろまち伏見
(更新)
歴史上3度にわたって建設された伏見城

京都・伏見に存在した「伏見城」。
現在、天守や城郭は残されていませんが、かつてこの地には、豊臣秀吉と徳川家康という二人の天下人が深く関わった巨大な城が存在しました。
実は「伏見城」は、歴史上3度にわたって築かれています。
その歩みをたどると、日本の政治の中心が豊臣政権から徳川幕府へ移り変わる激動の時代が見えてきます。
最初に築かれた伏見城は、豊臣秀吉による「指月伏見城」です。
1594年(文禄3年)、秀吉は隠居後の居城、そして政務を行う場所として伏見に壮大な城を築きました。
場所は現在の桃山泰長老町周辺。
当時、この丘は「指月の丘」と呼ばれていたことから、「指月伏見城」と呼ばれています。
しかし完成からわずか2年後の1596年(慶長元年)、畿内を襲った大地震――「慶長伏見地震」によって城は大きな被害を受けます。
建物の多くが倒壊し、秀吉はこの場所での再建ではなく、別の場所に新たな城を築くことを決断しました。
地震後、秀吉は現在の明治天皇陵がある丘陵地に、新たな伏見城を築きます。
これが「伏見山伏見城」です。
(※かつては「木幡山伏見城」と呼ばれてきましたが、近年の研究では「伏見山」という表現が注目されています。)
この城は単なる隠居所ではありませんでした。
大坂城にも匹敵する規模を持つ、天下を治めるための政治拠点として築かれたのです。
秀吉は晩年、この伏見城を政庁として全国の大名を動かしました。
さらに、多くの大名に伏見への参勤を求め、城下には全国の大名屋敷が建ち並びました。
伏見は、まさに天下人・豊臣秀吉が作り上げた政治都市だったのです。
1598年(慶長3年)。
豊臣秀吉は、ここ伏見城で62年の生涯を閉じます。
秀吉の死後も、伏見城は重要な政治の舞台であり続けました。
五大老を中心とした豊臣政権の政治も、この伏見城で行われました。
しかし、時代は大きく動き始めます。
1600年(慶長5年)。
関ヶ原の戦いの直前、伏見城は大きな戦いの舞台となります。
徳川家康方の城代・鳥居元忠がわずかな兵で籠城し、西軍を迎え撃ちました。
激しい攻防の末、伏見城は落城。
城は焼失します。
醍醐寺の僧侶・義演は、醍醐山からその様子を記録しており、当時の戦いの激しさを今に伝えています。
関ヶ原の戦いで勝利した徳川家康は、伏見の重要性を改めて認識します。
当時の伏見は、京都に近く、交通の要衝でもあり、政治的にも重要な場所でした。
家康は1602年(慶長7年)、伏見城を再建します。
この3度目の伏見城は、豊臣の城ではなく、徳川政権の重要拠点として機能しました。
1603年(慶長8年)。
徳川家康は伏見城において、朝廷から征夷大将軍の宣下を受けます。
これは江戸幕府の始まりを象徴する出来事でした。
さらに1605年(慶長10年)には、二代将軍・徳川秀忠の征夷大将軍宣下も伏見城で行われています。
伏見城は、豊臣秀吉の天下統治の城から、徳川幕府の成立を支える城へと役割を変えたのです。
その後、徳川政権は江戸を中心とした体制へ移っていきます。
1623年(元和9年)。
三代将軍・徳川家光の征夷大将軍宣下が伏見城で行われます。
これを最後に、将軍家の城としての役割を終えた伏見城は、翌1624年(寛永元年)に廃城となりました。
廃城後、その遺構は様々なところへ移築され、当時の姿を垣間見ることができます。
《伏見城の遺構と伝わる建物》
・御香宮神社(伏見区)表門(大手門を移築)
・西本願寺(下京区)唐門
・二尊院(右京区)総門
・観音寺(上京区)山門
・福山城(広島県福山市)伏見櫓
等など
役割を終えた伏見城は姿を消しました。
その後、この地には桃の木が植えられるようになり、いつしか「桃山」と呼ばれるようになります。
現在の「伏見桃山」という地名は、伏見城の歴史と深く結びついているのです。
そして、時は流れ、昭和の時代。1964年(昭和39年)。
当時の花畑跡地に、遊園地のシンボル的な建物として「伏見桃山城キャッスルランド」として復活しました。
しかし、2003年(平成15年)に閉園し、京都市に無償譲渡され「伏見桃山城運動公園」として整備されています。
ただし、模擬天守は耐震の問題で、内部非公開な状態で、まだその状態が続いています。
ちなみに、かつて天守があった場所は、幕末まで立入禁止とされていたそうですが、その後も「明治天皇陵」となり、現在も無許可での立入が禁止されています。
伏見城は、単なる城跡ではありません。
豊臣秀吉が最後の政治を行った場所。
徳川家康が江戸幕府を始めた場所。
そして、日本の権力が豊臣から徳川へ移り変わった歴史の転換点。
伏見城は、まさに日本の歴史が大きく動いた舞台だったのです。
(まいぷれ編集長)
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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